<夕食前にもう一つのセッションが始まりました>
今回遠藤先生に講義をしていただく背景として。
工学部に進学する場合、一体日本の工学部と海外の工学部は何が違うか、また研究を始めるってどうやって?リサーチって何?そういう初歩的なところから先生の取り組む企業についてお話しいただきました。

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遠藤先生:
大阪府立大学の遠藤達郎と申します。これから日本の大学の制度について話します。
実際大学の制度はまったく異なっていて、日本、米国、他の外国ではちがいます。

皆さんは大学に進まれると思いますが、大学の制度は、しばしば見えにくい
ところもあります。

まずは私の経歴をお話しします。私のバックグラウンドは電気工学です。
今までJAIST(北陸先端技術大学院大学)から研究資金を得て研究をしてきました。
その後、東京工業大学でナノテクノロジーの開発をしていました。バイオセンサーと言います。
バイオセンサーはご存知ですか?

生徒たち:
・・・・。

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遠藤先生:
知らないかな?
ではバイオセンサーというものは、ナノテクノロジーを使って病気を診断するための人体用のセンサーです。

それから大阪府立大学に研究の拠点を移しました。(センサーを生徒に見せながら・・・)
今はこのセンサーの開発に挑戦しています。見えますか?フィルムではないですよ。

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実はこれが、このポリマーで作られたナノ構造です。
ぜひ触ってみて。このフィルムを使って、私はこれで世界を変えたいと思っています。


ナノ構造はポリマーフィルムに似ています。それが特定の色に見える理由です。
これを使うことで、がんや感染症などの病気を診断することができます。
pH試験紙のように。


皆さんはスマートフォンを持っていますね。スマートフォンにはカメラがありますが、そのカメラはこのフィルムを使っています。写真をとって、ソフトウェアを使うことで、ソフトウェアを開発すれば、フィルムの色の変化を識別することで病気を診断することができます。
この説明で分かりましたか?初めて聞く言葉が多いかもしれませんね。


遠藤先生:
今皆さんは高校生です。学校でたくさんクラスがありますよね。
でも皆さんがもし大学に入ると、高校と大学との大きなギャップに遭遇します。
大きなギャップです。

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遠藤先生:
例えばどうやって学ぶのか?高校の時のようにホームルームがあって先生が教えにきてくれる?
いいえ違いますね。研究は先生と一緒にするの?どうやって研究するのか?

高校では先生が皆さんに質問して、皆さんが答えて、学んでいます。しかし大学では皆さん自身で問題を見つけて答える必要があります。問題を検証しないといけないのです。それが研究をする場所、大学です。

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遠藤先生:
最も大きなギャップは学校生活です。高校では授業科目が決められています。
皆さんは毎日、数学、化学、物理などを習います。たくさんの授業科目があります。しかし大学では皆さんが授業科目を決めることができます。


大学は高校よりも大変自由で、その分、皆さん自身の責任が求められます。自由と責任です。
もし皆さんが授業科目に有機化学や生物学に興味を持てば、大学でそれをより深く学ぶことができます。もし、興味の無い授業科目があれば、その授業科目を受けないこともできます。
個人の自由です。


高校ではクラスと同級生はほとんど同じですが、大学ではさまざまな授業科目でたくさんの友達を見つけることができます。同じ年の人とは限りません。色々な人がいます。


授業時間の長さも変わります。高校の授業時間は45分ですが、大学では90分です。その授業科目に興味の無い大学生は、日本の場合は、なんとほとんど居眠りしていますね。

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スケジュールについても高校と大学は大いに違います。高校のスケジュールは統一されていますが、大学は柔軟です。皆さんは授業科目を選択することができます。


どうやって学ぶか?大きなちがいがあります。高校では、先生が原則を教えて皆さんは記憶しますが、大学では、原則や理論をぜひ研究して、考えていきます。これはまったくちがうと思いませんか?


教科書についても高校と大学は大いに違います。高校の先生は教科書に基づいて授業しますが、大学では教科書はありません。先生というのは教授もいれば准教授もいれば、講師、外部講師もいて、その人たちが推薦する書籍などが教科書になる場合もあります。

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教授はホワイトボードを使って原則と理論を教えます。皆さんは原則を学び、応用を考えなければなりません。自ら進んで学びを追求する場所が大学です。工学部など研究していくことが基本にある学部は、より自ら進んで学び、知る必要があります。


ぜひ将来は研究することにぜひ挑戦してください。記憶する勉強じゃなくて、考えて、研究して、自分の考え方で学んでください。


おそらく米国では、大学生活はまったくちがいますよね。

<話は明日に続く・・・>

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<書き手:能登>
遠藤先生と、この講義について色々と事前に打ち合わせさせていただいた際に、最近の研究を始める大学生についてお話しさせていただきました。研究の始め方、リサーチの仕方から、仮説のたて方、論文の書き方から先生は手取り足取り指導されるようで、研究の道を歩むまでにしばらくの時間がかかるようです。高校生の時に工学部で一体どんな学びがあるか、知ってその大学に進学するか、ただ受験したのが工学部だったか、では学び方が違ってきますね。さてGTE2016のみんなはどんな進路が待っているでしょう。大変良い学びがありましたね。お疲れ様でした!

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